面接というものは多くの人にとって、何度経験しても緊張するものです。企業としては志願者の資質を見極める限られたチャンスであり、お互いに真剣勝負なので無理もありません。いざ本番で、思ったような受け答えができなかったと嘆く声もよく聞きます。
しかし、適切な面接準備を充分にしておけば自信につながり、不安を排除して面接に臨むことが可能です。いわば面接という戦いは、準備段階で勝敗が決まるといっても過言ではありません。
とはいえ、転職活動中の方々にとって、どういう点に気を付けて準備をすればいいのかが気になるところでしょう。そこで今回は、面接当日までに気を付けるべきポイントを3つに絞って解説します。
また、何らかの理由で満足な準備ができなかった場合の、2時間でできる面接準備法についてもご紹介します。転職組のみなさんにフォーカスした内容ではありますが、新卒で就職活動中のみなさんにも当てはまることなので、参考にしてください。
面接準備してないと面接官が思う時とは?
面接官に面接準備をしていないと判断されると、入社意欲が疑われて印象が悪くなります。
実際そんな場合は、次の選考に進めないことが多いようです。ここでは、面接官から面接準備をしていないと思われてしまう、代表的なケースを挙げてみましょう。
企業理解や業界知識が浅い
まず、対象企業の事業内容を理解していなかったり、その業界のことをあまり知らなかったりした場合は、面接官に準備不足だと思われます。
例えば業務の内容について質問され、まともに答えられないような場合です。業界に関する質問でも、基本的な情報を理解していなければ、面接官に「なんだ、全然わかっていないな」と思われても仕方ありません。
また、面接官から「何か質問はありますか?」などと尋ねられた場合に、何も出てこなかったりホームページを調べれば分かるような質問だったりする場合も同様です。
自己PRが薄っぺらい
次に、自己PRの内容が薄っぺらい場合も、準備をしていないと思われます。この項目は、入社選考の面接においては、必ずといっていいほど尋ねられる定番的な質問です。
とりわけ転職活動者においては、自身のキャリアを伝えるチャンスでもあるのです。入念に回答を準備するべきなのに、内容が薄いと自分のよさを伝えることができません。
マナーに欠けている
最後に、マナーに欠けている場合です。新卒においても、社会人としての最低限のマナーは求められます。すでに社会人であれば、マナーの欠如は致命的な要素になりかねません。
そして、マナーは言葉遣いや受け答えの仕方、あるいは振る舞いだけではないのです。わかりやすく、具体的な例を挙げておきましょう。
当日の集合時間に遅刻する
面接の日時に遅れてくるような場合は、当然マナーを欠いていますがそれだけではありません。事前に場所を確認したり、交通機関の経路や要する時間を調べたりなどの準備がなされていなかったりと判断されます。
服装や身だしなみが不適切
服装や身だしなみについても、面接とわかっていてきちんとできていないのは印象が悪く、結果的に入社意欲を疑われてもやむをえません。
ポイント1:「質問」を想定した面接準備
面接の当日に向けて、気を付けるべき3つのポイントを、それぞれ掘り下げて解説します。まずは「質問」を想定した面接準備について見ていきましょう。
面接の質問と一口にいっても、実際は多岐に渡り、業界や業種、企業の規模によっても質問の方向性が異なってきます。しかしながら、共通して問われる質問が存在します。
志望動機や自己PRなどは、それなくして選考はありえないといえるほどのマストな質問です。面接を受けることが決まったら、最低限その2項目についてはじっくりと準備をしておくべきでしょう。
他にもその企業のホームページ等で、基本情報は押さえておかなければなりません。その企業が属する業界についての、基本情報や動向なども理解して臨みましょう。
また、一次面接から最終面接まで、毎回同じ内容を尋ねられることが多々あります。要するに、それだけその企業が大切にしている部分なのです。決して「またか……」などと思わず、初めて答えるようなフレッシュな気持ちで誠心誠意回答すべきだと肝に銘じましょう。
ポイント2:「マナー」についての面接準備
面接というものにはマナーが数多く存在します。煩わしくても社会人の常識として、理解して臨まなければなりません。ましてや転職組であれば、違和感なくできて当然と思われる項目です。マナーに自信がなければ、新卒のつもりで準備をしましょう。
面接は企業に到着した時点から始まると考えておくべきです。受付や待合室、そして面接の部屋に入室、退出する時の振る舞いすべてにおいて、あなたのマナーは見られていると考えましょう。
面接のマナーといっても決して難しいことではなく、常識と良識で考えればその場にふさわしい振る舞いは自ずと分かるものです。
具体的なマナーの数々については、ある程度インターネットで情報を知ることもできれば、書籍も出されています。いくつかの情報源をチェックしておけば、おおむねこうすればよいという基本形が見えてくるでしょう。
手間ではあっても身につけておけば、転職活動だけではなくその後のビジネスパーソンとしての振る舞いにもプラスになります。そう前向きに捉えて、マナーに取り組みましょう。
ポイント3:「時間」に関する面接準備
社会人として、あるいはビジネスパーソンとして時間厳守は当然のルールです。
時間を管理する能力が欠けていることは致命傷で、信用を損なう大きな要因となります。よって、指定された面接時間に遅刻するような事態は、絶対に避けるべきです。
そのためには、事前に面接会場となる場所への交通アクセスや、自宅からの所要時間を調べておくのは当然でしょう。
当日も電車の遅延が発生していないかをあらかじめ確認し、何かあれば経路を変えたり、早めに出発したりなどの対応ができてこそ万全の準備といえます。
また、遅刻だけがひんしゅくを買うのではありません。早過ぎる到着もまた、先方に迷惑をかけてしまいます。面接会場周辺には余裕を持って到着することが大事ですが、その上で10分前くらいまでは近くで待機するほうが賢明です。
万一間に合わない時の「2時間面接準備法」
面接が急遽決まったり、直前まで仕事で忙しかったりして、どうしても準備ができないこともあるでしょう。そんな場合に備えて、当日の出発前の2時間でできる面接準備法をご紹介します。
まず企業のホームページを30分でチェックしましょう。見るべきポイントは代表者の挨拶やメッセージ、業務の内容、企業理念やビジョン、そして採用ページです。
次に45分かけて自己紹介の準備をしましょう。あなたの最終学歴から現在に至るまでのキャリアを、時系列に組み立てて5分以内で話せるようにまとめます。空ですべて覚えるというよりは、ポイントとなるキーワードを頭に叩き込みましょう。
社会人経験が10年以上の人であれば、すべてを時系列でまとめると冗長になってしまいます。その場合は、経歴を冒頭の2分でコンパクトにまとめましょう。残りの3分で携わってきた業務内容や、培ったノウハウあるいはスキルなどを整理して話せるようにします。
最後は45分かけて、想定される質問に対しての準備です。基本的には下記の4項目を想定しましょう。
- 転職を望む理由
- 対象企業の志望動機
- 入社後にやりたい仕事
- 10年後の自分自身の展望
個々の項目について、もう少し詳しく見ていきます。
転職を望む理由
企業側は、あなたがどうして転職を考えるに至ったかについて興味があります。それによって、転職理由がポジティブなものかネガティブなものかが見られます。とはいえ、ネガティブだからNGというわけではありません。
どちらの場合でも、その理由から転職を決意した流れが妥当であると伝われば問題ないのです。下手に美化しようとせず、正直な心情を吐露した方が好印象を与える可能性があります。
対象企業の志望動機
これは企業にとって選考の根幹に関わる部分です。企業としては、数社ある中のひとつとして応募する人と、その企業だからこそ応募する熱意ある人がいた場合、どちらを採用したいかは明白でしょう。
もちろん、複数の志望企業があって当然です。しかし、少なくとも選考を受けるからには個々の企業に対してきちんと向き合う姿勢で臨むべきです。
入社後にやりたい仕事
新卒であればその質問に対して、そこまで深く詰められることはないでしょう。しかし転職組であれば、自分のやりたい仕事を明確に発信できなければ、評価が低くなることは当然です。
実際に、そういった仕事をさせてもらえるかどうかは別にして、自分のやりたい方向性を明示できない人材であれば企業は欲しいと思ってくれません。よく自己分析をしたうえで、自分ならその企業で何ができるか、何をやりたいかを考えておき、堂々と答えましょう。
10年後の自分自身の展望
先の3つは大抵質問されますが、4つ目の項目は質問されないことも多いかもしれません。それだけに、もし尋ねられた際にしっかりと答えることができれば、評価は高まると考えられます。
この質問は、答え方でその人らしさが伺える項目です。変に飾らずに、心からそうありたい10年後の自分に関して、目を輝かせて生き生きと語りましょう。それができれば、印象がよくなることは間違いありません。
まとめ
転職活動で面接試験を受ける際の、面接準備について解説しました。
ポイントである「質問」「マナー」「時間」の3つに対して、入念に面接準備をしておきましょう。この3点がしっかりと準備できていれば精神的にも余裕が生まれます。また、周到な準備が間に合わない場合の、2時間面接準備法を知っておけば心強いでしょう。
本番で思いが言葉にならないなどの、不本意な事態を避けやすくなるはずです。ここでご紹介した情報を参考に、ぜひとも転職活動で納得できる結果を出してください。