転職活動をされているみなさんは、面接時にどういう服装で望むべきかで悩まれることも多いのではないでしょうか。実際に、面接する企業側の第一印象は、志願者がどのような服装で面接に臨むかによって大きく変わります。
志望する企業の業界や業種にもよりますが、一般的には男女ともにスーツが無難であるといえるでしょう。しかし一口にスーツといっても、色目や柄やデザインの違いもあり、迷ってしまうという声もよく聞かれます。
また、印象は単純に服装だけではなく、着こなし方やコーディネートによってもかなり左右されるものです。今回は転職面接で面接官に好印象を与えるスーツについて、着こなしも含めて男女別にご紹介します。
転職の面接でリクルートスーツはOKか?
一般的に新卒での就職活動といえば、男女共にリクルートスーツが定番です。多くの社会人が、就職活動の時に一着は用意していたのではないでしょうか。しかし、転職活動においては「これが定番」というようなファッションは存在しません。
新卒時に入社したのがスーツを着る必要がない職場であれば、2着目のスーツを持っていない場合もあるでしょう。最近ではビジネスカジュアルの浸透もあり、仕事でスーツをめったに着ることがない方も多いようです。
しかし、転職の面接に普段の仕事用のスタイルで行くのは問題があります。やはりスーツこそが、男女を問わず面接のスタンダードな服装と言えます。
とはいえ、仮に普段着るスーツがないからと、昔のリクルートスーツを引っ張り出して着用し、面接に臨んだとしましょう。あなたのキャリアを見込んでこそ採用となる転職の面接においては、頼りない印象を与えかねません。
また、リクルートスーツはイメージ的に量販店のコスパスーツのイメージがあります。その上、ベタ無地の黒や紺が多く、グレード感に欠けるものが多いのもリクルートスーツの特徴です。
社会人1〜2年目ぐらいのまだフレッシュな転職者ならまだ許されるかもしれません。しかし、20代後半以降のビジネスパーソンであれば、リクルートスーツは避けるのが賢明です。
転職面接での好印象スーツと着こなし術:男性編
ではどのようなスーツが好印象を与えるかを、男女別に見ていきましょう。まずは男性編からです。好印象を与える色、柄、そして着こなしの注意点の順に解説します。
好印象を与えるスーツの色はグレー?
転職の面接で好印象を与える、スーツの色について考えてみましょう。一般的に好印象な色としてはチャコールグレーとダークネイビーの2色です。これは欧米のスーツスタイルの中でフォーマル性が高い、ダークスーツとしての王道とされる色でもあります。
「チャコール」「ダーク」という言葉に注目してください。単にネイビーやグレーであればよいということではなく、ダークスーツの範疇に入る深みある色がベターです。
リクルートスーツとして量販店が打ち出しているものにはブラックがほとんどです。しかし、国際基準のダークスーツとしては、ブラックよりもチャコールグレーとダークネイビーの方が優勢となっています。
ストライプやチェック柄でもいいのか?
スーツの柄についてはどうでしょうか。当然無地は無難なのですが、リクルートスーツのような安っぽいベタ無地は避けたいものです。無地であれば、上質な素材感が感じられるものを選びましょう。
ストライプやチェックの、いわゆる柄物もありですが、何でもよいわけでは決してありません。社会人が最近はよく着用しているウィンドウペイン(窓枠柄)やグレンチェックなどのおしゃれなチェック柄は、面接用としては少々ファッショナブル過ぎるのでNGです。
ともかく派手なストライプやチェックはNGと考えましょう。しかし、ピンストライプやシャドーストライプ、グラフチェックのような、シックでビジネスイメージにふさわしいものがあります。
ピンストライプとは点線によるストライプで、柄の幅もミリ単位の狭いものが多く、柄物スーツの中では最もビジネスシーンに似つかわしいでしょう。
シャドーストライプは、同色あるいは同系色の糸で織り方によってストライプ感が出る柄です。光の当たり具合による陰影で柄が際立つので、その名が付けられました。
グラフチェックとは、グラフのような方眼上の細かいチェックのことです。最も大人しいチェック柄ともいえるでしょう。この柄以外のチェックは基本的には避けた方が無難です。
面接における着こなしの注意点
さて、スーツにベーシックなものを用意したとしても、それだけでは不充分です。着こなしがなっていないと、印象が悪くなります。
例えば、慣れていない人がよくやってしまう「芸者えり」と呼ばれる悪い例があります。
スーツのジャケットのラペル(上襟)が、本来首の後ろに当たる部分にフィットしていない着方のことです。だらしなく、品性も欠けて見えるので絶対に避けてください。
首の後ろには、しっかりラペルが触れているように着こなさなければなりません。それだけでも印象は随分変わります。
いまさら聞けないボタンの留め方
スーツのフロント釦のデザインは、主に2つボタンと3つボタンです。とはいえ、これはシングルスーツの話であり、4つボタンや6つボタンのダブルスーツは、それ自体が面接には向いていません。
ボタンの留め方は2つボタンなら上ひとつ、3つボタンなら真中ひとつか上ふたつです。面接での着席時は外してもマナー違反になりませんので、座ってきゅうくつに感じれば前を開けても問題ありません。
ただし、再び立ち上がった時に留め直すのを忘れないようにしましょう。
シャツとネクタイの選び方
スーツの「Vゾーン」、つまりジャケットの胸元に見えるシャツとネクタイのコーディネートは、顔の真下の部分であり、大きく印象に反映すると考えてコーディネートしましょう。シャツはやはり白が最もおすすめです。
欧米ではブルーシャツもデフォルトのようで、外資系企業であれば問題ないかもしれません。しかし、日本人としてはやはり面接用のシャツの色は「白」であるべきと考える人が多いのは、間違いないでしょう。
ネクタイの色に関しては、明確なルールはありません。派手過ぎず、なおかつスーツに合った色であれば問題ないと考えてください。
例えばダークネイビーのスーツに、下地がダークブラウンの上に小さいドット柄(水玉)が入ったネクタイ、チャコールグレーのスーツにダークネイビーとワインカラーが交互で現れるストライプなどがシックで見た目もよいでしょう。
余談ですが、欧米においてのネクタイのストライプは柄によって大学や団体のアイデンティティである場合が多々あり、中途半端に選ばない方がよいといわれています。また、日本ではどちらかというと派手めだということで避けられるドット柄は、欧米ではスタンダードです。
転職面接での好印象スーツと着こなし術:女性編
次に女性編です。女性の転職での面接に関して、男性と同様にスーツが好ましいのはいうまでもありませんが、もう少し掘り下げて見ていきましょう。
できればスーツないならせめてジャケットで
女性の場合は男性ほどは「スーツでなければならない」雰囲気はありません。できればスーツの方が好ましいということです。スーツ以外であっても、ジャケットを着用することが望ましいでしょう。
パンツスーツとスカートスーツについて
女性のスーツスタイルには、パンツスーツとスカートスーツがあります。どちらがよいも悪いもありません。ご自身の好みの方、あるいは似合っている方を選べば問題ないでしょう。
面接での着こなし、ここに注意!
女性の転職面接での、着こなしの注意点をいくつか挙げておきます。
インナーはカットソーとブラウスどちら?
女性のスーツのインナーは、一般的にカットソーかブラウスになります。パンツかスカートかと同様に、どちらがマストということはありません。好みに合っている方を選びましょう。
ダークカラーのスーツに対して、インナーは白あるいは淡い色目が好ましいといえます。フリルがついたフェミニンなものや、柄が入ったものはおすすめできません。
アクセサリーについての注意点
アクセサリーは何もつけないほうが無難です。どうしても付けたい場合は、できるだけデザインがシンプルなものにしましょう。
同様にネイルファッションもしない方が無難です。どうしてもの場合は、肌の色に近いベージュやピンクなどの、悪目立ちしないものにしましょう。
服装自由の面接に臨むときの考え方とは?
昨今では職場自体がビジネスカジュアルを推奨しているところも多く、面接においても服装の指定がない、あるいは自由な場合があります。とはいえ、カジュアル過ぎる服装は当然NGです。
襟付きのシャツやジャケットスタイルなどの、ビジネスでも通用するレベルは最低限必要です。ようするに、清潔感があるかとビジネスマナーに反していないかが大切となります。また、自由ということはスーツという選択肢もあるのです。
また、アパレルなどのファッション系企業であれば、服装を自由にすることによって志願者のファッションセンスを見極める意図があることも考えられます。
いずれの場合も、あらかじめ面接を受ける企業のホームページなどをチェックしておくのが賢明です。社員のみなさんがどういう服装なのかを確認し、企業風土を感じ取ることを通して、そのまま働いても違和感がないイメージの服装を選べばよいでしょう。
まとめ
転職の面接における、好印象を与えることができるスーツスタイルに関して、男女別の基本情報をご紹介しました。
色や柄、着こなしの注意点など、ポイントはいろいろとありましたが、何も難しく考えることはありません。
すでに社会人のあなたは、常識的でビジネスマナーに反しない、清潔な服装をイメージできることでしょう。その上で、ここで紹介した情報もぜひ参考にしていただき、好印象を与えるスーツスタイルを実現してください。